ムチウチ後遺症の特徴と原因、対策

ムチウチ後遺症とは

ムチウチ後遺症とは、交通事故やスポーツ事故などでムチウチ(頚椎捻挫)になった後、怪我が治っても症状が無くならない。または新たな症状が出てくることです。
ムチウチ(怪我)との因果関係の立証が難しい場合が多く、医学的には認められない場合も多いですが、ムチウチをやってから身体の調子がおかしいという訴えは非常に多くみられます。

ムチウチ後遺症の特徴

  • 首、肩、背中のこり
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • うつ
  • その他あらゆる不定愁訴

このような症状がムチウチになってから1週間から数年経ってから徐々に出てくることが多く、本人も過去のムチウチの影響だとは思っていないこともあります。

ムチウチ後遺症の原因

後遺症の原因として最近では脳脊髄液減少症や軽度外傷性脳損傷などが指摘されることがあります。

それ以外にも、オステオパシーやカイロプラクティックでは神経学的な筋・筋膜の緊張と外科的な組織の変性が原因としてあげられます。
それは以下のようなプロセスで進行します。
筋紡錘の異常→反射による筋緊張→血行不良→慢性的な炎症→組織の変性
以下ではこのメカニズムを解説します。

そもそもムチウチになるときには、急激に頭部が動き、首がしなるように動きます。
例えば交通事故で追突された場合を考えてみましょう。
追突されると後ろから衝撃を受けますので頭部はいったん後ろに動いてから反動で前に動きます。このとき首は過伸展(ぐいっと後ろに反る)した後過屈曲(ぐいっと前に曲がる)します。
この後、場合によってはさらに反動で過屈曲と過伸展が繰り返されるかもしれません。

さて、過屈曲と過伸展が繰り返されるとどうなるでしょうか。頚椎が捻挫(靭帯が伸びて損傷)するのはもちろんですが、神経的な影響があることも見逃せません。

この神経的な影響が後遺症の原因の一つとなるのです。

感覚神経は先端に受容器というセンサーのような器官をもち、痛み、熱、圧力、張力などのいろいろな情報を脊髄に伝えています。その情報をもとに脊髄は様々な反射を起こし、筋肉をコントロールしています。
ムチウチのような反動がついた動きを受けると、この受容器に問題が発生し、この後起こる様々なトラブルの原因となります。

受容器には感度があり(発火閾値)適切な感度を保つようにできています。
センサーの感度が良すぎると、ちょっとした刺激でも過敏に反応するようになってしまいます。無人の自動ドアが勝手に開いてしまうような感じです。
ムチウチの後に問題になるのは、筋紡錘(きんぼうすい)という受容器です。この受容器は筋肉の中にあって筋肉の伸張状態(筋肉の伸び具合)を測っています。
筋紡錘が筋肉がどれぐらい伸びているかという情報を伝え、その情報をもとに筋肉の緊張度が調節されます。(もし全身の筋肉がグニャグニャだったら立つことも座ることもできませんので、常に身体の筋肉は適切な緊張を保っています)
筋紡錘の感度も常に調節されていて、それは筋肉の状態(伸張の程度と伸張スピード)によって決まります。

まとめると、筋紡錘は筋肉の状態によって以下のような感度調節が行われます。

  • たるむ→感度低下(鈍感になる)
  • のびる→感度上昇(敏感になる)
  • 勢いよくたるむ→感度急上昇(かなり敏感になる)
  • 勢い良く伸びる→感度急低下(かなり鈍感になる)

このような仕組みにより普段は適切な感度が保たれていますが、反動の付くような衝撃を受けると、筋肉は勢いよくたるんだ直後に勢いよく伸びることになりますので、筋紡錘がかなり敏感になった直後に強く伸びる刺激を受けることになります。
このような刺激を受けた筋紡錘の感度は、人体を保護するためにかなり敏感になった状態で固定されてしまいます。

筋紡錘から伸張の情報(「伸びてますよ」っていう情報)を受け取った脊髄は反射的に筋肉を緊張させます。
膝のお皿の下を軽くたたくと足が上がる膝蓋腱反射という現象がありますが、あれは筋紡錘が筋肉の急な伸張を感じて脊髄が反射的に筋肉を収縮させるためにおこる現象です。

敏感になった筋紡錘からは常に伸張の情報が送られてくるため、脊髄はずっとその筋肉を緊張させ続けます。その結果として筋肉は血行不良を起こし、慢性的な炎症状態へと移行していきます。
そして、慢性的な炎症状態は組織の変性を引き起こします。
組織の変性とは、細胞の壊れた部分が柔軟性のない固い組織に置き換えられていくことです。このメカニズムは肝硬変のメカニズムと似ています。わかりやすく言うと、肉の質がすごく悪くなるということです。

筋紡錘の異常→反射による筋緊張→血行不良→慢性的な炎症→組織の変性

このようなプロセスが悪循環を起こし、徐々に体調にも異常をきたすのがムチウチ後遺症の原因ではないかと言われています。

ムチウチ後遺症の対策

一度敏感な状態で固定されてしまった筋紡錘の感度を正常にするのは自分では難しいので整体の専門家に相談してください。
また、変性した組織をもとに戻すことはできません。ただし、今あるよい状態の組織をしっかり使えるようにすること、これ以上の変性を防ぐことで症状はかなり改善するようです。そのためには血流と栄養状態などを包括的に改善する必要がありますので、整体の専門家のサポートを受けることをお勧めします。

自分で出来るケアとしては、ゆったりとした軽い運動、深いリラックス、温める、栄養バランスの良い食事などがあげられます。

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