頚性神経筋症候群とは
頚性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん)略して頚筋症候群(けいきんしょうこうぐん)とは、東京脳神経センターの松井孝嘉博士が難治性の不定愁訴のある患者の首の筋肉(頚筋)に緊張がみられることから命名した症候群です。俗称として「首こり病」と呼ばれています。
頚性神経筋症候群の特徴
首こり病による不定愁訴は17個あるといわれており、緊張型頭痛、めまい、自律神経失調症、うつ、パニック障害、ムチウチ、更年期障害、慢性疲労症候群、ドライアイ、多汗症、不眠症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、機能性食道嚥下障害、血圧不安定症、VDT症候群、ドライマウスがあげられています。
東京脳神経センターによると、全うつの90%以上は頚筋性うつだと言われています。
頚性神経筋症候群の原因
首の筋肉の異常は、パソコンやスマホなどの使用時、うつむき姿勢を続けることで生じた首の筋肉の緊張による「首こり」から起こります。また、頭部外傷やムチウチでも起こるとされています。
首の筋肉は自律神経のうち副交感神経と密接な関係があるので、首の筋肉の異常は自律神経の異常へとつながるのです。
では、うつむいた姿勢はどれぐらい首の筋肉に負担なのでしょうか?
下の図を見ると分かる通り、首の角度が60度になると、首への負荷は27kgにも達します。
つまり、20kgほどの重りを頭に乗せているのと同じぐらいの負荷が首にかかっているということです。
それだけの重さをずっと支えている首の筋肉の疲労は相当なものになっていることが想像できますね。
筋肉全般に言えることですが、負荷を掛け続けた筋肉は変性を起こします。
慢性的な緊張を強いられる筋肉は血行不良を起こし、慢性的な炎症状態へと移行していきます。
そして、慢性的な炎症状態は組織の変性を引き起こします。
組織の変性とは、細胞の壊れた部分が柔軟性のない固い組織に置き換えられていくことです。このメカニズムは肝硬変のメカニズムと似ています。わかりやすく言うと、肉の質がすごく悪くなるということです。
筋緊張→血行不良→慢性的な炎症→組織の変性
このようなプロセスが進行し、変性した筋肉の細胞は以前のようにうまくはたらくことができません。
園ようんあ状態が長期間続くと、自律神経にも影響が及び、様々な不定愁訴の原因となるのです。
頚性神経筋症候群の対策
首の筋肉をほぐす
首の筋肉をほぐすには、ストレッチと運動が効果的です。
強いマッサージはかえって筋肉のダメージになるので厳禁です。
姿勢をよくする
頭の位置は全身の姿勢によっても変わります。
骨盤が後ろに倒れ、肩が前に入り、頭が前に出た姿勢。いわゆる猫背の姿勢は首の筋肉の緊張を引き起こします。
骨盤を立てて姿勢を正し、骨盤の真上に頭が来るように姿勢を整えると頭の重みによる首の筋肉への負荷を減らすことができます。
予防のために
頚性神経筋症候群になってしまう前に肩こりや疲労感や姿勢の悪さがあるはずですから、その段階で身体のメンテナンスをすることが重要です。
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