腱板炎(四十肩・五十肩)とは
腱板炎とは、腱板と呼ばれる筋肉群に炎症が起こり、肩・腕の痛み、腕が上がらない等の症状が起こっていることです。
腱板とは、肩にある筋肉群で、小円筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋の4つの筋肉のことです。
これらの筋肉は肩甲骨と上腕骨に付いている筋肉で、上腕の動きを安定させる働きをしています。
この筋肉群にトラブルが起こると、手を上げるなどの動作に不具合が起きます。
腱板炎(四十肩・五十肩)の特徴
腱板は腕を動かすときに使いますので、腕の動作で痛みが出るのが特徴です。
- 90度以上に腕を上げると痛みがある
- 痛みのある方の肩を下にして寝ると痛い
- 手を後ろに回すと痛みがある
- 腕を上げた状態を維持できない
などの症状が出ます。
腱板炎(四十肩・五十肩)の原因
きっかけと構造上の問題
腱板炎になるときにはほとんどの場合きっかけがあります。
肩をぶつけたり、重いものを持ったり、なにかを強くひっぱたりしたなどの動作やアクシデントがきっかけになることが多く、自分でも覚えていないようなこともあるので、ある日突然腕が上がらなくなったと感じます。
また、腱板、特に棘上筋は構造上血管が少なく、血行不良が起こりやすい箇所なのでアクシデントや過負荷などのきっかけからしばらく時間がたって炎症が進行し、腕が上がらなくなることも少なくありません。
腕の骨の位置の問題
上腕骨の内旋(巻き肩)があると、腱板炎のリスクは上昇します。
上腕骨の肩の方の先端(骨頭)は丸いボールのような形状をしています。
肩甲骨の方はお椀のような形(ソケット)をしていて、上腕骨との間に肩甲上腕関節という関節を作っています。
腕を動かすときはこの関節が動くのですが、その動きは少し複雑です。
約90度までは肩甲上腕関節が動いて腕が上がります。
90度以上の角度に上げるときは肩甲骨が回転し、ソケットが上を向きます。そして、上腕骨の骨頭がすべり出すように外側にスライドしつつ腕の角度が上がっていきます。
このすべり出し運動のコントロールを腱板が担当しているのです。
よって、90度以上腕を上げると痛いというのは、腱板がうまく機能していないために骨頭のすべり出しが出来ていないということが推測できます。
上腕骨の内旋(巻き肩)があると、上腕骨は内側にねじれたポジションになります。この状態がすでに骨頭のすべり出しを悪くしていますので、腱板に負担がかかっている状態です。
ためしに腕を内側にねじって(手のひらを体の後ろに向けて)横から腕を上げてみてください。おそらくあまり上がらないと思います。
今度は反対に腕を外側にねじって(手のひらを上に向けて)横から腕を上げてみてください。今度はしっかり上に上がるはずです。
何かのきっかけで痛んでしまった腱板の炎症が進行してしまう背景には腕のポジション、姿勢の問題があるのです。
腱板炎(四十肩・五十肩)の対策と予防
痛めてから3日以内で明らかな原因がある場合は安静にして痛みが引くのを待ちましょう。
痛めてから日にちがたっている場合や慢性化している場合は、血行を良くして回復を早めるべきですから、温めたり適度な運動をするのが良いでしょう。
- 姿勢
姿勢を良くして肩が前に入らないように、巻き肩にならないように気を付けることで腱板の負担を減らすことが出来ます。 - 入浴
全身を温めて血行を促進し、特に血流の悪くなりやすい腱板への血液の流れを良くしましょう。 - 運動
強い痛みを感じない程度の運動も血流の促進に効果的です。 - 栄養
ただでさえ血管が細く血流の悪くなりやすい腱板ですから、血液の粘度が高い(ドロドロ血)状態では血流が滞りやすくなります。
特に血糖値には注意するべきです。
これらの対策は予防にも役立ちます。
腱板を良い状態に保つには血液循環を良くすることが最優先です。冷えと運動不足と栄養に気を付けて腱板の周辺の環境を良くしてあげることが予防に役立ちます。
また、腱板への物理的負荷を軽減するためにも姿勢をよくして腕のポジションを正しい位置にキープできるようにしましょう。
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