肩こりの特徴と原因、対策

肩こりとは

肩の筋肉、主に僧帽筋という筋肉が緊張し、血行不良を起こし、固くなった状態のことです。
だるさ、疲労感、鈍痛を伴うことがあり、腕や肩が動かしにくくなることもあります。
日本語特有の表現ですが、欧米人は肩がこらないというわけではありません。
siff(硬い) とか sore(痛い、ひりひりする) と表現することが多いようです。
ちなみに、肩こりという言葉を最初に造ったのは夏目漱石だと言われています。ただし、漱石以前にも肩の凝りという表現はされていたようです。漱石が使ったことで一般に広く使われるようになったと考えるのが妥当でしょうか。

肩の筋肉は腕の重みと頭の重みを支えています。また、物を持つ、全身の運動の際にバランスをとるなど日常のほとんどの姿勢、動作で使用します。
ですから、肩の筋肉はとても疲れやすいということが言えます。

肩こりの特徴

肩こりは大きく3つに分類できます。

1、一時的な疲労による肩こり

特定の作業を繰り返し行ったり、同じ姿勢で長時間過ごすことによって肩の筋肉が疲労して凝り固まるように感じることがあります。
このような肩こりは適切な休息をとれば自然と回復します。

2、慢性的な肩こり

休息しても回復しない。または、すぐに同じ症状がぶり返す。このような状態の肩こりは慢性化した肩こりと言えます。
一時的な肩こりを放置したり、繰り返し肩こりを起こすことによって慢性化することが非常に多いと考えられます。

3、二次的な肩こり

内臓の反射痛(とくに胃、肝臓、心臓)、片頭痛の前兆、頚椎ヘルニアなどの神経根障害の放散痛など、肩の筋肉に直接的な問題がなくても肩の凝りや痛みが発現する場合があります。

一番多いのは慢性的な肩こりですが、肩こりには非常に多くの原因が考えられ、危険な病気のサインである場合もあります。
また、慢性的な肩こりがあるということは、肩だけでなく首の筋肉にも慢性的な負担があるということです。
これは、頚性神経筋症候群(首こり病)という自律神経の失調を伴う症状に発展する可能性が高いので「しょうがない」と思わず、適切なケアをするべきです。

肩こりの原因

ここでは慢性的な肩こりの仕組みを紹介します。

慢性的な肩こりの原因

まず、肩こりの原因をおさらいしましょう。
肩こりは筋肉が緊張し、血行不良を起こし、硬くなった状態を指します。
慢性的な肩こりでは、これに加えて組織の変性と筋肉の硬縮という現象が絡んできます。

筋肉に血行不良が起きると、筋肉の細胞に酸素や栄養が行き届かなくなります。また、筋膜(筋肉の表面を覆っている膜)の表面では水分の不足が起こり、筋肉のすべりが悪くなります。
長期間血行不良にさらされた筋・筋膜は変質し、固くなり、本来の力が出なかったり、すぐに疲労したり、少しのダメージで壊れるような筋肉になってしまいます。このような状態の筋・筋膜を変性・硬縮していると言います。
まとめると、悪い体内環境によって筋・筋膜が変性、硬縮してしまうということです。

変性し硬縮した筋肉は疲労しやすく壊れやすいので血行不良を起こしやすくなってしまいます。
これにより悪循環が発生します。

血行不良→変性、硬縮→血行不良

このような悪循環が発生すると、いよいよ肩こりが慢性化してしまいます。
そうです、慢性的な血行不良から始まる悪循環が肩凝りの原因なのです。
では、なぜ血行不良が慢性的に起こるのでしょうか。

慢性的な血行不良の原因とは

血液が循環するには、スキマが必要です。筋肉と筋肉の間、筋肉と脂肪の間、内臓と内臓の間など、血管の通り道にスペースが十分にないと血液はうまく流れることが出来ません。
また、血液循環のためには運動が必要です。筋肉が動くときには、内圧に変化が起こります。力が入っている(緊張、収縮している)ときは内圧が高まります。緩んでいる(弛緩している)ときは内圧が低くなります。内圧が高くなったり低くなったりすることによりポンプのように体液を循環させます。これを筋ポンプ作用と言います。

つまり、スキマが無くなったり、筋ポンプ作用が弱くなると血液循環が悪くなるということがわかります。
では、スキマを無くし、筋ポンプ作用を弱くしてしまう原因とは何でしょうか。

1、姿勢

骨盤が後ろに倒れ、肩が前に入り、頭が前に出た姿勢。いわゆる猫背の姿勢は肩の筋肉の緊張を引き起こします。
頭の重さは成人で5キロほどですが、首の角度が前に60度倒れた状態では27キロの負荷が首にかかります。
自重が5キロですから、22キロの荷物を頭に乗せているのと同じぐらいの負荷がかかっていることになります。
このように、姿勢が悪いと首から肩の筋肉が持続的に緊張し内圧が高いままになるのでスキマが無くなります。また、筋ポンプ作用が働きにくくなるので、血行不良が発生します。

2、運動不足

運動をせず同じ体勢で長時間いることも血行不良の原因になります。
動くことで筋肉の収縮と弛緩が繰り返され、筋ポンプ作用が働いて血液が循環しますので、運動不足は血行不良と直接関連します。

肩こりの対策

姿勢をよくする

よい姿勢は頭の位置が身体の真上にある姿勢です。その姿勢を作るには骨盤、背骨、肩の位置が正しいことが必要です。

運動をする

運動と言ってもハードなスポーツなどをしなくても大丈夫です。
座ったままでも伸びをしたり足首を動かすようにすることで簡単に全身の血流を上げることが出来ます。

完全に慢性化し、悪循環にはまってしまっている肩こりは自分の力だけで改善するのは難しいことがあります。
そのような場合は私たちのようなプロに相談してみてください。
優秀な整体師は悪循環をストップさせ、好循環をスタートさせる有効な手段を持っています。

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